肩の腱板(けんばん)とは肩甲骨と腕の骨をつなぐ四つの筋肉からなる板状の束のことで、腕を上げたりねじる働きをしています。通常は転倒して腕をつくなど酷使することで切れますが、まれにはっきりした原因もなく日常動作の中で断裂することがあります。症状は肩の運動時痛や夜間痛など五十肩とよく似ていますが、五十肩のように固まることは少なく、腕を上げるときに力が入りにくかったり、上げ下げのときに引っ掛かって痛いのが特徴です。
腱板はエックス線写真には写りませんが磁気共鳴画像装置(MRI)検査での診断ができます。治療はまず、痛み止めの内服や注射などで痛みを落ち着かせてから、理学療法で腱板の機能訓練を行います。断裂直後は腕を上げることができませんが、3カ月ほどで徐々に上がるようになります。保存的治療法を数カ月行っても痛みが取れない場合や肩の機能回復が不十分な場合には手術療法を行います。肩の痛みで悩んでおられる方は、ぜひ早めに整形外科にご相談ください。