ヘルニアの病態については前回お話をしましたが、その症状は腰痛はもちろんのこと臀部から下肢の後面の痛みや痺れ、ひどい場合には足に力が入りにくくなります。診断は仰向けに寝た状態で下肢を伸展して挙上した際に痛みがお尻から足先まで走るかどうかや、足趾の感覚・筋力を調べればおおよその診断はつきますが、なおその部位やヘルニアのタイプを確定するにはMRIが有用です。
治療の基本は保存療法であり、ヘルニアがあるからといって手術が必要なわけではありません。まずは安静や鎮痛剤の内服、痛みの強い場合には神経ブロックを行います。ヘルニアの80%はこれらの保存療法で自然治癒しますが、長期間保存療法を行っても痛みが取れない場合や、感覚障害や筋力低下が改善しない場合、特に尿失禁や残尿・便秘などの膀胱直腸障害があるときは手術が必須です。最近では内視鏡を用いた低侵襲手術も行われるようになりましたので、まずはきちんとした診断を受けて治療方法を相談してください。